学習サークル2000年1月議事録
学習サークル1月議事録
【日時】
2000年1月8日 14:15〜16:00
【場所】
兵庫県立西はりま天文台 スタディールーム
【活動内容】
◎テキストの範囲
3章 5 宇宙の階層構造〜4章 1 天の川の正体と銀河系の発見まで
◎配布物
プリント2枚
◎Abstract
まず、先週、間違っていた所を訂正した。
「5 宇宙の階層構造」では、プリントを前回の物を変えて、テキストと併用しながら内
容を説明した。「1 天の川の正体と銀河系の発見」では、プリントの内容を読んでもら
い、テキストの内容を説明した。また、物理をやっていない人もいたので、基本的な事も
説明した。最後に前回の質問の内容をまとめて終わった。
今回は姫路工業大学のメンバーも多く、長い時間活動ができた。
◎内容
・5 宇宙の階層構造
プリントを使って、惑星系から宇宙の泡構造まで、それぞれの階層の説明をし、階層の関
係について説明した。銀河団の説明では、銀河団の力学的進化について、テキストの表と
テキストの内容を組み合わせて、テキストの意図していると考えられる事を説明した。「
(2)超銀河団と宇宙の大規模構造」では、赤方偏移について、物理の基礎的な事から説
明し、テキストの内容を説明した。
・1 天の川の正体と銀河系の発見
内容を分かっていない人が多かったので、最初にプリントを読んで貰い、内容を把握して
貰ってから、細かい部分の説明をした。星の明るさが、星までの距離が遠くなるとどうな
るかについて説明し、ハーシェルのスターカウントの説明をした。
・まとめ
12月の質問の内容を確認して。1月の活動を終わった。
◎質問
・12月
1 微分回転とはどういうものか。
2 円盤型の銀河では、回転するだけで渦の模様にならない。この事は、本当は
どうなっているか。また、本当に回転するだけで渦の構造ができるか。
3 密度波理論についての解釈。物質が通りにくい所が波が立っているように見
える所かどうか。
5 「局部銀河群」という名前は、 固有名詞か。
6 「局部銀河群」の範囲はどこまでか。
7 星雲、星団の大きさはどれぐらいか。また、星団と銀河はどう違うか。
8 銀河から銀河までの距離はどこから測っているか。
・1月(新しくでた質問)
1 銀河の速度分散の測定方法。
2 局部銀河群に属する銀河の個数の決め方。
3 楕円銀河、S0銀河はどういうものか。
4 銀河の回転の速さ(銀河の回転曲線)はどうなっているか。
5 ドップラー効果とは。
6 赤方偏移とは。
7 ハッブル(Hubble)の法則とは。
8 光の強さと距離の関係。
☆4〜8の質問は、物理を専門としない方による質問です。
◎質問の答え(答えられたもの)
・12月
1 微分回転とはどういうものか。
微分回転に対するものとして、剛体回転がある。微分回転とは、このような
回転ではなく、ガスなどの流体が、銀河の円盤を回転する時の摩擦で、外側
の回転が内側より遅れていく回転の事。(理化学辞典参照)
5 「局部銀河群」という名前は、 固有名詞か。
「局部銀河群」は、固有名詞です。
7 星雲、星団の大きさはどれぐらいか。また、星団と銀河はどう違うか。
「星雲」「星団」「銀河」古いもので、「島宇宙」という言葉は、昔は、これらの物
を区別できなかった。星団と銀河の違いとしては、星団は銀河を構成しているもので
あり、天体の大きさとしては半径で、散開星団で5〜30光年、球状星団で100〜
500光年ということができる。
8 銀河から銀河までの距離はどこから測っているか。
測定の起点は太陽系で、銀河の中心までの距離を測定している。
・1月
1 銀河の速度分散の測定方法。
テキストP32にある様に、タリー・フィッシャーの関係、フェーバー・ジャクソン
の関係などの経験則によって決める。
2 局部銀河群に属する銀河の個数の決め方。
研究の立場や、観測結果によって変わると考えられる。
(前田さんによる回答)
3 楕円銀河、S0銀河はどういうものか。
銀河には、渦巻銀河、棒渦巻銀河などの種類があり、見かけの形で分類されている。
楕円銀河やS0銀河も銀河の一種で、楕円銀河では、特徴として渦巻銀河の様な円盤
がなく、水素ガスが少ない。この水素ガスがないため、年老いた星が多く、赤っぽい
色に見える。S0銀河も楕円銀河と同じように円盤部分がほとんど無く、銀河の構成
要素も楕円銀河に似ている。(テキスト参照)
4 銀河の回転の速さ(銀河の回転曲線)はどうなっているか。
銀河の中心から円盤のある半径の所までは、剛体的な円盤の様に回転し、それより離
れた部分では、惑星の運動をする。(テキスト参照)この境界の区別は明確でない。
5 ドップラー効果とは。
/\ /\ /\ /\ →v
■ \ / \ / \ / \ /
\/ \/ \/ \/
→V
/\ /\ /\ /\ →v
■ | | | | | | | |
\/ \/ \/ \/
←V
/⌒\ /⌒\ /⌒\ /⌒\ →v
■ \ / \ / \ / \ /
\_/ \_/ \_/ \_/
(v:波の進む速さ、V:波源の速さ)
・一周期の波
\ /\
\ / \
\/ \
波源からでた波は、一定の静止した媒質中では、一定の速度で進む。波原からでる波
の数(周波数)も一定なので、波源が移動すると、波源の移動が波の速さに比べて小
さい時(V<v)、図の様に、1つ当たりの波(一周期の波)の長さ(波長)が変わ
る。この事をドップラー効果という。
6 赤方偏移とは。
地球から恒星や銀河などを観測すると、ほとんどのものは、地球から遠ざかって観測
される。光も波なので、この時、天体からでた光はドップラー効果のため、波長が長
くなる。この波長が長くなる事を赤方偏移という。
7 ハッブル(Hubble)の法則とは。
地球から恒星や銀河などを観測すると、ほとんどのものは、地球から遠ざかって観測
される。天体が地球から遠ざかる速度(後退速度)とその天体までの距離には、
v=HR (v:後退速度、R:天体までの距離
、H:定数)
の関係がある。Hをハッブル定数といい、この関係をハッブルの法則という。
8 光の強さと距離の関係。
光が一点からでているとすると、光源を中心とした半径Rの球を考える。光源から出
た光の量は一定なので、Rが大きくなると球の表面の単位面積当たりの光の量が少な
くなる。球の表面積をSとすると、
2
S=4ΠR
となる。単位面積当たりの光の量をσ、全光の量をLとすると、σは、ある方向に向
かう光(観測する光)の量になる。
全光の量は、
2
L=σ×4ΠR
ゆえに、
2
σ=L/4ΠR
ゆえに、ある方向に進む光の量は、Rの2乗に反比例して小さくなる。
(前田さんによる回答)
【次回の活動】
・2月は、4章の「2 銀河系の大きさと構造」の内容をする。時間があれば、
復習もする。